ネットやスマホが全盛の現代では、どのような企業にも自社ページは欠かせない存在になりました。Web集客効率を高めるため、オウンドメディアを運営する会社も年々増加しています。 自社ページやオウンドメディアの運営にあたり、知っておきたいのが主流になりつつある「CMS」です。
今回はCMSとは何か、メリット・デメリットから種類にいたるまで、わかりやすく解説します。代表的なCMSもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
CMSとは?
CMSとは「コンテンツ管理システム」のことであり、「Content Management System」の略称です。
これまでWebサイトの制作・管理には、HTMLやCSS、FTPソフトなどの専門知識、そして相応の手間が必要でした。しかし、CMSを活用すれば、オフィスソフトを使うような感覚で誰でも簡単にWebサイトの制作・管理が行えます。
その手軽さから普及が進み、現在はWebサイトの約6割がCMSを使っているともいわれています。
CMSでできること
CMSでは、以下のようなことが行えます。
- Webサイトの制作・追加
専門知識なしでテキストや画像、動画などを組み合わせたWebサイトの制作・追加が行えます。 - Webサイトの管理
各ページの一括編集、公開・非公開の切り替え、公開日の予約設定など、Webサイトの管理が効率的に行えます。 - テンプレートの利用
多くのCMSはテンプレート機能を搭載しており、統一性のある高品質なサイトが簡単に制作できます。 - レスポンシブ対応
同じテキストや画像、動画などを元に、パソコン向け・スマホ向けなど、複数のページを表示できます。 - SNSとの連携
CMSの中には、Facebookの「いいね」やTwitterの「ツイート」ボタンを設置できるもの、同じ内容を自動でSNSに投稿できるものなどもあります。 - SEO対策
多くのCMSは検索エンジンが推奨する形式を採用しており、利用するだけでより上位の表示が期待できます。
CMSを導入しているWebサイトの特徴
CMSを導入しているWebサイトは、テキスト・画像・動画・ページの骨組みなどのデータを一括管理し、それらを組み合わせて自動で各ページを表示します。量が多いWebサイト、頻繁な更新を要するWebサイトも効率的に制作・管理できますが、オリジナリティの高い特殊なWebサイトには向いていません。
CMSを導入していないWebサイトの特徴
CMSを導入していないWebサイトは、各ページのテキスト・画像・動画・ページの骨組みなどを個別に管理し、表示しています。オリジナリティの高い特殊なWebサイトも1から自由に制作できますが、専門知識と相応の手間が必要です。
WebサイトにCMSを導入するメリット
WebサイトにCMSを導入することにより、以下のようなメリットが得られます。
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
ITの専門知識がなくても簡単に更新・ページ追加ができる
CMSを活用すれば、オフィスソフトを使うのと同じような感覚で、Webサイトの更新やページの追加が行えます。HTML・CSS・FTPソフトなどのITの専門知識はとくに必要ありません。一般的なパソコンスキルをお持ちの方であれば、誰でも簡単にWebサイトを管理できます。
Webサイトの運用を分担できる
CMSを活用すれば、ITに詳しい人材や部署以外の人とも、Webサイトの運用を分担できます。具体的な分担例としては、以下のようなものが考えられます。
- 内容ごとの分担
「製品・サービス情報ならマーケティング」「会社概要・IR情報なら広報」というように、内容ごとに適した人材・部署で分担します。 - 場所ごとの分担
「各営業所のページをそれぞれに任せる」というように、場所ごとに分担します。
各担当がそれぞれの判断で編集できるため、Webサイトを更新しやすくなります。ページごとに権限を振り分けておけば、「担当外の箇所を編集してしまった」などという、うっかりミスも起こりません。
スマホ・PCなどのマルチデバイス対応ができる
CMSを使ったWebサイトは、一元管理しているデータを組み合わせ、自動で各ページを表示します。同じデータでスマホ版・PC版の両方を表示できるため、2種類のページを作成する必要がありません。今や必須ともいえるスマホ版をPC版と一緒に作成・管理できます。
ページごとのデザイン・レイアウトを統一できる
多くのCMSは、デザイン・レイアウトのテンプレートを豊富に用意しています。それらを大きく変更しないようにすれば、ページごとに分担しても全体の統一感を損なうことはありません。
SEOやマーケティングの施策がしやすくなる
Googleなどの検索エンジンは、推奨するWebサイトの構造を定めており、該当するものをより上位に表示します。検索エンジンで上位表示を目指す(SEO対策を行う)ためには、推奨される構造を理解し、積極的に取り入れていかなければなりません。
CMSを活用すれば、ページメニュー・パンくずリスト・サイトマップ・titleタグ・meta descriptionタグなど、検索エンジンが推奨する構造を簡単に整備できます。誰でも手軽にSEO対策が行えるため、自然と集客力の増強を見込めます。 また、近年はMAやCRMなどといったマーケティング機能を備えたCMSも増えてきました。
- MAとは
MAとは「Marketing Automation」の略であり、自動的にマーケティングを行ってくれるシステムのことを指します。MA搭載のCMSは「Sitecore Experience Platform」と呼ばれ、アクセス解析やリードスコアリングなど、営業に役立つ情報を豊富に提供してくれます。 - CRMとは
CRMとは「Customer Relationship Management」の略であり、顧客情報を一元管理するシステムのことを指します。CRM搭載のCMSは、性別や住所、購入履歴などの情報にもとづいて、各顧客に合わせたページを表示してくれます。
こうしたマーケティング機能搭載のCMSは、もはや単なるWebサイトの作成・管理ツールではありません。効果的なマーケティングツールとして、顧客へのアプローチを強力に後押ししてくれます。
SNSとの連携がしやすくなる
CMSの中には、Facebookの「いいね」やTwitterの「ツイート」ボタンの設置、同じ内容の自動投稿など、SNSと連携できるものもあります。SNSは短期間での拡散力に優れているうえ、検索には至る前の「潜在的なユーザー」にも情報を届けられます。連携することで、さらなる集客力の向上が見込めるでしょう。
コスト削減につながる
CMSが普及していなかった時代、専門知識なしでWebサイトを運用するには、Web制作会社に外注する必要がありました。しかし、CMSを活用すれば、専門知識がなくとも自社でWebサイトを運用できます。
外注分のコストが削減できるうえ、内容を外部に伝達する手間もありません。新商品やセール、イベントの情報なども、いち早く発信できます。
WebサイトにCMSを導入するデメリットはある?
WebサイトへのCMS導入には、以下のようなデメリットがあります。
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
既存サイトをCMSへ移行させる必要がある
既存サイトを持っている場合、それをCMSに移行させる必要があります。最初は移行の手間がかかることを覚悟しておきましょう。
基本的な操作方法を覚える必要がある
CMSは専門知識を要しませんが、基本的な操作は最初に覚える必要があります。一般的なパソコンスキルをお持ちの方であれば、それほど難しくはありません。有料のCMSであれば、提供元に頼るという手段もあります。
セキュリティ対策が別途必要になる
CMSを活用すれば、どのような場所からでも、誰でも簡単にWebサイトを運用できます。しかし、これは裏を返せば、悪意を持った者にもアクセスされやすいといえます。
ログイン情報を厳重に管理するのはもちろん、CMSのセキュリティが低ければ、別途対策を講じなければなりません。CMSが提供するアップデートをこまめにチェックし、いつも最新の状態を保っておきましょう。
CMSの種類
CMSには、主に以下の3つの種類があります。
自社に適したCMSを選ぶために、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知っておきましょう。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSとは、ソースコードがネット上で一般公開されているCMSのことです。
サーバーを用意してシステムをインストールするだけで、簡単に利用できます。ライセンス費用のかからないCMSが多く、自社制作ならサーバー以外の費用はかかりません。デザインやテンプレートのカスタマイズも、比較的簡単に行えます。
ただし、ブログ向けに開発されているものが多く、ほとんどが商用利用を想定していません。そのため、中〜大規模なWebサイトには向いていないほか、運用やセキュリティなどを提供元に頼らない姿勢が求められます。
代表的なツールとしては、WordPress・Joomla・Drupal・Concrete5 などが挙げられます。
商用パッケージ型CMS
商用パッケージ型CMSとは、提供元が商品として販売しているCMSのことです。提供元が独自に作ったもののほか、オープンソース型CMSの機能を拡張したものなどがあります。
オープンソース型と同じく、サーバーを用意し、システムをインストールするだけで、簡単に利用できます。ただし、システムのインストールには、必ずライセンス費用を払わなければなりません。ライセンス費用はWebサイトの規模に応じて、高くなっていく傾向があります。
オープンソース型ほど安価ではありませんが、提供元からのサポートや保証を受けられたり、充実した機能を期待できたりします。商用利用を前提としたツールが多いため、中〜大規模なWebサイトの運用も問題ありません。
代表的なツールとしては、中規模なWebサイト向けのHeartCoreやNOREN、大規模なWebサイト向けのSitecoreやAdobe Experience Manager などが挙げられます。
フルスクラッチ型CMS
フルスクラッチ型CMSとは、特定の企業やWebサイトのためだけに、オーダーメイドで作られたCMSのことです。
提供元と打ち合わせを重ねて1から作りあげていくので、相応の時間と費用がかかります。しかし、既存システムとの密接した連携やカスタマイズ可能な独自機能、提供元からの手厚いサポート、高度なセキュリティなどを期待できます。
CMS導入にあたって確認したいこと
CMSを導入するときには、あらかじめ以下の5点を確認しておきましょう。
それぞれの内容を、詳しく解説していきます。
CMSを導入する目的は何か
CMSにはさまざまなツールがあり、機能や費用が大きく異なります。自社にあったものを選ぶために、まずは導入の目的を明確にしておきましょう。
CMSが適したサイトであるか
Webサイトには、CMSに適しているものとそうでないものがありますので、自社サイトが適しているかどうか、事前に確認しておきましょう。 以下のようなサイトは、CMSに適しています。
- 頻繁に更新する
CMSを活用すれば、頻繁な更新も効率的にこなせます。 - リアルタイムに情報を発信したい
CMSで自社運用すれば、外注介入のタイムラグが削減され、早く情報を発信できます。 - ページ数が多い
CMSを活用すれば、大量のページ追加や一括変更も簡単にこなせます。 - 運用を分担している
CMSは専門知識を要さないため、IT関連以外の人材・部署とも、簡単に運用を分担できます。 - 全体のデザインが統一されている
CMSのテンプレートを利用すれば、全体の統一性を保ったまま、各ページを運用できます。
反対にあまり更新されない、ページ数が少ない、ページごとのデザインが異なるサイトなどは、CMSに向いていません。
CMSに求める要件は何か
CMSを導入する目的に沿って、求める要件を明確にしておきましょう。決めておきたい要件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 費用の上限
- 運用するWebサイトのタイプと規模
- 欠かせない機能
- 自社サーバーを使うかどうか
- サポートの幅
- セキュリティレベルなど
無料版と有料版どちらにするべきか
CMSには無料版と有料版があり、主に以下のような点が異なります。
- サポートの幅
- マーケティングシステムなどとの連携
- サーバーの負荷に対する強さ
- セキュリティレベルの高さ
自社の目的や要件に合わせて、より適した方を選びましょう。
いま使っているサーバーを継続して使うか、移行するか
CMSの中には、専用サーバーが必要なものもあります。既存サイトがある場合は、サーバーごと移行しなければなりません。専用サーバーの性能によっては、移行自体が難しい場合もあります。
代表的なCMSツール7つを紹介!
代表的なCMSツールとして、以下の7つをご紹介します。
費用や特徴、メリット・デメリットについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
WordPress
「WordPress」は、世界中で圧倒的なシェアを誇る、オープンソース型CMSです。
【WordPressの概要】
種類 | オープンソース型CMS |
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費用 | 無料〜 ビジネス(ビジネス用の機能拡張:月額2,900円) コマース(オンラインストア対応:月額5,220円~) |
メリット | テンプレートやプラグインが豊富 SEO対策が簡単に行える |
デメリット | セキュリティリスクが高め |
豊富なテンプレートやプラグインをカスタマイズして、SEO対策済みのWebサイトが簡単に制作できます。カスタムドメインなどの有料サービスを使わなければ、費用も一切かかりません。
ただし、圧倒的なシェアを誇る一方で、常にセキュリティのリスクがつきまといます。最新版へのこまめなアップデート、セキュリティのプラグイン設置など、対策を講じておきましょう。
WiX
「WiX」は、世界190ヶ国で2億人以上が利用するクラウド型CMSです。
【WiXの概要】
種類 | クラウド型CMS |
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費用 | 無料〜 ビジネス(ビジネス用の機能拡張):月額1,800円など |
メリット | 多様な機能が組み込める 他のCMSより簡単に製作できる |
デメリット | カスタマイズ性は低め |
6つのステップを踏む、あるいは質問に答えるだけで、他のCMSよりも簡単にWebサイトが制作できます。ショップ・SNS連携・チャット・オンライン予約などのさまざまな機能が組み込めるほか、動画背景・スクロールエフェクト・アニメーションなど、動きのあるデザインも得意です。
ただし、WiXが提供するアプリやプラグインしか利用できないため、カスタマイズ性はそれほど高くありません。
Movable Type
「Movable Type」は日本国内でNo.1のシェアを誇る、国産の商用パッケージ型CMSです。
【Movable Typeの概要】
種類 | 商用パッケージ型CMS |
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費用 | ソフトウェア版:99,000円〜 クラウド版:月額5,500円〜 |
メリット | サポートが充実している 表示速度が速い |
デメリット | プラグインが少なめ |
セキュリティ対応・サーバー管理・自動アップデートなどのサポートが充実しており、大手企業のHPにも多く採用されています。あらかじめページを用意しておく「静的生成」を採用しているため、表示速度が速く、サーバーにも負荷がかかりません。
商用パッケージ型のため相応の費用がかかるほか、プラグインが少なめでカスタマイズ性に欠ける部分があります。
ferret One
「ferret One」は、B to Bマーケティングに特化した、クラウド型CMSです。
【ferret Oneの概要】
種類 | クラウド型CMS |
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費用 | 初期費用:100,000円 月額費用:100,000円〜 |
メリット | B to Bマーケティングの機能が充実している 伴走サポートが充実している |
デメリット | 費用が高め |
コンテンツマーケティング・メールマーケティング・見込み顧客管理・行動履歴レポート・アクセス解析など、B to Bマーケティングの機能が充実しています。施策から受注に至るまでを広範囲に伴走サポートしてくれるため、これからB to Bマーケティングに取り組む企業にもおすすめです。
ただし、費用は初期費用・月額費用共に10万円と決して安くありません。機能やサポートの費用対効果をよく検討しましょう。
Shopify
「Shopify」は、ここ数年で大幅にシェアを拡大した、ECサイト特化のクラウド型CMSです。
【Shopifyの概要】
種類 | クラウド型CMS |
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費用 | ベーシック:月額33アメリカドル スタンダード:月額92アメリカドル プレミアム:月額399アメリカドル |
メリット | ECサイト関連の機能が充実している |
デメリット | 複雑なカスタマイズには専門知識が必要 日本語情報が少なめ |
在庫管理・ストア分析・幅広い決済手段・SNS連携など、ECサイト関連の機能が充実しており、越境ECにも対応できます。
ただし、デザインや機能の複雑なカスタマイズには、専門知識がなければ対応できません。カナダ初のサービスであるため、英語でしか情報が見つからない場合もあります。
Joomla
「Joomla」は、海外でWordPressに次ぐシェアを誇る、オープンソース型CMSです。
【Joomlaの概要】
種類 | オープンソース型CMS |
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費用 | 無料〜 |
メリット | セキュリティが強固 カスタマイズ性が高め |
デメリット | 操作が複雑で初心者には不向き |
海外の政府関連機関にも採用されており、セキュリティの高さに定評があります。豊富なテンプレートとプラグインを利用して、デザイン性の高いWebサイトをカスタマイズできます。
ただし、機能が幅広いために操作が複雑な部分があり、CMS初心者にはあまり向いていません。
Ameba Owned
「Ameba Owned」は、無料のサービスが充実した、クラウド型CMSです。
【Ameba Ownedの概要】
種類 | クラウド型CMS |
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費用 | 無料〜 プレミアム:月額960円・年額9,600円 |
メリット | 無料の範囲が広め |
デメリット | カスタマイズ性が低め |
カスタムドメイン・SNS連携・アクセス解析など、他のCMSで有料のサービスも、幅広く無料で利用できます。シンプルでデザイン性の高いWebサイトを簡単に制作できますが、カスタマイズ性はそれほど高くありません。
まとめ
CMSとは、Webサイトの運用を簡単にしてくれるシステムです。活用すれば、専門知識なしでWebサイトを運用でき、外注の手間やコストを減らせます。ツールによっては、マルチデバイス対応・SNS連携・SEO対策・マーケティングなども可能です。
ただし、基本的な操作は最初に覚えなければならないほか、既存サイトは移行する必要があります。また、提供元だけにセキュリティを頼らず、別途対策を講じる必要もあるでしょう。
代表的なCMSツールとしては、WordPress・WiX・Movable Type・ferret One・Shopify・Joomla・Ameba Ownedなどが挙げられます。導入の目的や要件などを踏まえて、自社にあったものを選んでくださいね。